スペインアンダルシアへ 原点の椅子に出会う旅 vol.2
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ロンダの新市街と旧市街をつなぐヌエボ橋。18世紀に造られたそうだ。
橋の上から遠くを見れば、ぽつぽつとお菓子の家のような、絵本にそのまま出てくるような農家の屋根を見下ろし、馬が草を食んでいるのが、けし粒のように見える。あとはオリーブの木と荒野が広がる。壮観な眺め。
足を踏み外せば、間違えなく命をおとす細い狭い道を降りて絶壁の途中へ。橋を見上げる。川を見下ろす。
自己責任に任せているのだな。
ヌエボ橋の上にて360度パノラマ撮影。
まさに淑女。かなりなご高齢のようだが、おしゃれしてかっこいい。歳を取ってもこうありたいものだ。
コルドバとはまた雰囲気が違う細い入り組んだ道を歩き回った。どの道もつながっていて、何度も同じところに出てきてしまった。本当に迷路のようだ。疲れたしお腹ぺこぺこ。
お昼ごはんにしよう。コルドバで初めて入った店で、失敗しているのでちょっと自信がない。タパスの店はたくさんあって迷った。
なるべくたくさんお客さんの入っている店に入ってみた。おねえさんの、「おすすめ!」に賭けた。当たった!ムイリコ!(うまい!)
勢いで、思い切ってフリオさん探し用の写真や資料を拡げて見てもらった。
ぱっと表情が変わって、大声でペラペラペラペラペラ!ハッハッハッハッハッ!
カウンターで一杯やっている常連さんのお客さんに話しかけて説明してくれている。
「やった!すごい!みつかった!」わかった。
フリオ・サンツさんも、この店でやはり常連さんのようだ。
その飲み友達のおじさんが、
「俺について来なよ!」と手招きしてくれて、一緒に店を出た。
雨上がりで、今日は杖の代わりに傘をつきつき、連れて行ってくれた。
5分ほど歩いて、覗いた店で「フリオは?」「今日は来てないよ」と、もう一軒の店の主人。
今来た道を引き返し途中の曲がり角を左に曲がった。まだ、ここは歩いてなかったな。
まだ雨に濡れた石畳の急な坂道を滑らないように慎重に、足が少し悪いのかびっこをひきながら、前を歩いて導いてくれた。
狭い下り坂を50メートルほど下ったところで右へ曲がった。期待と喜びでどきどき。
見覚えのある場所だ。
「世界ふれあい街歩き」で見た、そこだった。
この体格に見合う、よく通る張りのある声で「フ・リ・オ!フ・リ・オ!」と2回、門の外から呼んでくれた。ロコという、やはりテレビで見覚えのある犬と一緒にすぐに出てきてくれた。
鉢植えの手入れをしていたところだったようで、泥で汚れている右手を見せ、笑いながら
会えたー!
この感動を伝えたいのにーシャベレナイ。
会えない気はしなかったが、信じられなかった。
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「オラー」(こんにちわ)とだけ言って、すごーく嬉しいんだけど戸惑っていたら、「アミーゴ オラ!」といって抱きしめてくれた。
うれしかった。
後継ぎの息子さんともう一人手伝いの方が作業していた。
息子さんが編みたてのいすを見せてくれた。「どうだい!」
作業台に座り、おなかに靴を挟み、作業台の窪みと靴の間に材料の木をはさむように固定し、銑(せん)を使って、押し削り、みるみる気持ちよく削りだしていく。丸ほぞもなんの定規もなしに、永年の経験からくる勘で正確に削りだしてしまう。
正確な丸ではなく、締め勾配をつけた多角形のほぞを丸穴に叩き込む。これだ!この作り方を見たかったのだ。
そして、座編み。
現地では「エネーア」と呼んでいた、見た目は日本の蒲(がま)のようだが2.5メートルほどの長さがあり、とても丈夫な扱いやすい草だった。乾いた材料を持ってきて、パティオのタイルの床にひろげ、水をかけしばらくしたらもうしなやかになり扱いやすかった。編む手順、継ぎ手の方法少しづつ違うところもあったが、ほぼ出来上がりは同じで、「イグアル、イグアル」(おなじおなじ)と言っていた。息子さんが編んでいる椅子は見る間に仕上がり、得意げに見せてくれた。
「時間はどのくらいかかりますか?」「あっち行ったり(タバコ吸ったり)、○○やったり、裏から詰め物もして2時間くらいだ。」キッズチェアくらいの大きさでお土産用の、ヌエボ橋の絵が笠木に描いてある椅子だった。
「明日までにこれを仕上げるんだ。」と言って、無雑作に積み上げられた編み換えのダイニングチェア枠を指さした。
私の作っている椅子の写真も見てもらった。「ボニート」(かわいい、かっこいい、美しい、などと訳せる)と言ってもらって嬉しかった。でも、君のいすはマキーナ(機械)も使っているだろ?オレは手道具だけだ。全て手仕事だ。
「それが一番のこの仕事に対する俺の誇りだ。」かっこよかった。ボニート!
ここまで案内してくれた、見ての通り本当にやさしく、おおらかなかわいいおじいさん。心から感謝しています。フリオさんと大の仲良し、飲み友達でもある。 小径木の枝や節や曲がりをそのまま使ったかわいい椅子。
同じ感覚の人なんだ。なんの隔たりも感じず自然と受け入れてくれるし、こちらにも入ってくる。
そして2階。ここは白壁にびっしり手道具が整然と掛けられ、まるで道具の博物館だった。すごい!驚きの連続。
何より不思議に思ったのは、ほこりひとつかぶっていないことだった。
半地下の作業場はさすがに自分の工房と同じで雑然としていて、ほこりっぽいのだったが、ここはそれがない。
街を歩いていてもそうだったが、大体土があらわになっていないのだ。街路樹も石畳の中にほんの少しその木が立っているのに最低必要なだけ土が見えていて、花はほとんど鉢植え、それも出窓の格子に置いたり、壁にかけてあったりだった。
埃というもの自体が少ないのかなぁ。とも思ってしまった。
そしてもうひとつびっくり。マイワイン樽があり、ここの横を通るたびに、一杯注いではクイッとやっているくらいワイン好きなのだ。さすが、エスパニョール。昼間なのに普通に飲んでるみたいだ。
挨拶代わり?にグラスに注いでくれた。このワインがうまかったー。
こんなうまいワインは飲んだ事がない。また、ハモンセラーノという燻製とチーズとがよく合った。普段はほとんど飲まない方だが、これは勧められるままに飲んでしまった。でも、こんなにうまくて、この空気と雰囲気、ここに住んでいたらいつでも飲みたくなっちゃうだろうなぁ。
街中のバルでは、昼でも関係なくやっぱりワインだ。おじいさんおばあさんおじさんおばさん、みんな友達みたいにカウンターの前で立って飲んでいる。
そして、居間のある3階へ。ここにも、壁いっぱいに道具が掛けられていた。日本の引いて使う鉋もたくさんあった。相当な道具狂?突然来たのに、二日目の夜、食事まで招待していただいてしまった。
とてもかわいくて、優しいおかあさんがこれまた美味しいトマトソースボンゴレのパスタ、トロ(闘牛)のしっぽの煮込み、豚肉のソテー、ケソ(チーズ)、ぶどうにバナナにコーヒーにパンそしてうまいうまいワインと、とても貧乏旅行では味わえないご馳走を準備していただいてしまった。言葉には表せないほど(実際のところ・・・)の感謝!「ムイブエノ、ムイリコ!」(本当にうまい!おいしい!)だけは連続で発していた。
それでも、会ってすぐの時は舞い上がって何がなんだか分からないで過ぎてしまったけれど、2日目は落ち着きを取り戻して、分からない、聞き取れない言葉はちゃんと聞き返して、指差し会話本で調べながら会話ができた。何度でも分かるようにゆっくり繰り返し言ってくれた。本当に優しい人たちだった。下ごしらえしていった、箇条書きの言葉達もちゃんと伝わって良かった。翻訳してくれたインターネットにも感謝。
お土産に持っていった、水鏡さんに書いていただいた[木楽]と[愛love]の書もとても喜んでくれた。
「クアンド ベニール アキ? 5日前です ノー 月曜日です ノー ロンダにはおとといです ノー ノークアンド クアント」やっとわかった。そうか、いつここへ来たのかじゃなくて今度ここへいつ来るんだ。だった。「近いうちに」そんな風に伝えようとした。また来るぞ!
「ジョ トゥ アミーゴ!」(おれとおまえは友達だ!)きつく抱き合ってお別れした。泣きそうだった。ありがとう。

しばらくの間、夢の中にいるような感じだった。
紹介してもらったペンシオン(安宿)はすぐみつかり、なんと1泊25ユーロだって。安い。身の丈にあってる。
心もおなかもいっぱい。商店でアグアミネラル1.5?(1.20ユーロ)を買って、部屋に戻りシャワーを浴びて寝た。

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朝早起きしてしまったので、早朝散歩の途中のロンダ新市街の通り。ひとっこひとりいない。「しーん」と音がするようだ。 同じ新市街の通りの人ごみ。世界中から観光客が集まる。
サンタ・マリア・ラ・マヨール教会
断崖絶壁から下を見下ろすと、家が豆粒のようにしか見えない。
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スペイン最古の闘牛場 
オフシーズンで今は闘牛場と博物館の見学だけ。
石積みの技術が、すごい。
観光馬車。馬の目はかわいいなぁ。牛は白目をむくとちょっと怖い。
食欲をそそるこうばしい香りを放っている丸鶏のロースト屋さんやハモンセラーノが店中に吊るしてある生ハム屋さんの専門店などが軒を連ねおもしろい。ハム、サラミ、ベーコン、チーズ等など本当に最高にうまい!
最高の思い出を残せたロンダをあとに、特急のレンフェに乗ってグラナダへ向かう。
ロンダの街よアディオース!
15分遅れて出発。車窓は相変らずの景色。ひまわりの季節はきっとまた飽きるほど続くんだろうなぁ。とにかくオリーブの畑と荒野。そういえば、ぶどう畑は見ない。ワインのぶどうはどこで穫れるんだろう。
近代的なでーっかい風車が何十機も回っていたり、高ーいたかーい鉄塔が急に現れたりして、たまーに変化を見せてくれた。
同じ車両に乗っていた人で、大学卒業予定で就職も決まり、フランス、イタリアそしてスペインと40日間旅している人が日本語で声をかけてくれた。女性で一人旅。しかも、リュックを背負って。すごい!根性あるな。いい旅してる。スペインが一番性に合っているとのことだった。その中でも今のところロンダが一番かなーと言っていた。スペインでしかもロンダに決めてよかった。Fさんに感謝。
久しぶりに日本語を話せて肩の力がすーっと抜けた。なんて楽なんだ、しゃべれるのって。
グラナダに到着。大都会だ。マドリッドと違うところは大都会だけど歴史を感じる建物に囲まれていると言う印象だった。また、コルドバともロンダとも全く違う空気だった。ここでもヨーロッパ各国からの観光客であふれてた。この時期でこの混みようだから、トップシーズンはそれこそすごいんだろうなぁ。
まずは、安宿探し。中心街にはホテル、オスタル、ペンシオンがたくさんあり助かった。大通りを入って細い道になると安宿のマークがあるので、飛び込みで聞いてみたら、一軒目は満室。地図をくれて、印をつけてくれて、「ここへ行ってみな」ということで、二軒目。泊まるだけだけど、20ユーロだった。部屋を見てから決めたが、十分だった。パスポートを出すとき、一緒に入れてある息子の写真を見せ、「ミ・イホス(息子です)」って言ったら「ボニート」って返してくれた。グラシアス。ちょっとの会話がとても嬉しい。お守りだ。ありがとう。
荷物を置いて、アラブ街を通りまた迷路のような路地を登って行き(こんなぎりぎりの狭い道を観光バスが・・・)アルバイシンのサンクリストバル展望台に到着。ライトアップされたアルハンブラ宮殿は厳かだった。それにしても観光客だらけだなぁ。自分も含めて。
夕食にしよう。
街へ降りて行く途中、夜景が素晴らしかった。
グラナダの街はとにかく人が多い。そしてみんな大声で元気で飲んでしゃべってる。っていうか叫んでる。バルというバルは小さいテーブルに5.6人が顔がくっつくぐらいにしてしゃべって笑って飲んでる。
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とにかくバルに入ってみた。「この土地のおすすめはどれですか?」の問いにメニューを3つ4つ指差してくれたのでひとつを注文。カリョスという牛ホルモンの煮込み。これがまたうまかった。赤ワインとの相性も抜群。なんて普段ほとんど飲まないのだが、勢いでお代わりもしてしまった。ボリュームたっぷりでお腹いっぱい。
カウンターに座っていたのだが、横の席にドンッと座ってペラペラ話しかけてくる人がいた。なんだか分からないって顔してたら、店の主人にきつく何か言われて出て行った。カウンターの上に置きっぱなしになっていたデジカメをすーっと私の胸の前へ滑らせながら、目配せして、しまっておきな、と教えてくれた。危ない危ない。
その次に横に座ってきた人は、また叫んで、これまた強そうな酒をガーッと一気飲みして、話しかけてきた。ぽつぽつと、「私は日本から来た」とか何とか言ってたら、「カンフー?」と言いながら構えるから、「そうそう、カラテ!」と言いながら、突きのかっこをしたら、急に「エクスキューズミー!」と言って、握手を交わしたと思ったら、また叫びながら出て行ってしまった。あんまり長居
は無用かな。
と思えば、その横には、おじいさんとおばあさんが夫婦でカウンターの椅子には座らずに立ったままビール飲みながら食事してる。迷わず、ホテルまで帰ってこれてよかった。熱いシャワーを浴びて気持ちよかった。だが、外はやっぱりとにかくうるさい。人の声、声、声声・・・叫ぶ人、歌いだす人、奇声をあげる人、踊りだす人、パトカーのサイレン。さすがにここでは、夜中は出歩かない方がよさそうだ。

疲れていたせいもあり、良く眠れた。
案内書のスペインのバルって所に書いてあった、流行っている店ほど床が串やら、紙やら、貝がらやらで足の踏み場も無いくらい散らかっている。というのがまさにこれだった。散らかすのがマナーというからびっくり。
朝7時、道路清掃車がでっかいブラシを回転させ走っていく。その横でまだ外で飲んで歌っている人たちがいる。「なんなんだグラナダ!」年中お祭りみたいな街だ。

早々にチェックアウト。
荷物を背負って、カフェで朝ごはん。
ここら辺では濃いエスプレッソに砂糖をたっぷり入れ飲むのが定番のようだ。これもなぜかおいしかった。
杖を突いた紳士が歩いているのが小さく小さく見える。
とにかく建物の規模が大きい。
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グラナダでの2泊目は日本から予約済みのユースホステル。中心街からはちょっと離れていて、結構歩いた。
近代的で、清潔でとても親切。
グラナダからバスに乗ってグアディクスへ。
バスの待ち時間があったので、お昼ごはん。トルティーヤ、サラダ、コーヒーこれで7ユーロ。これはかなり腹いっぱいのボリューム。
往復チケットで、帰りの時間は最終の一つ前でPM9:30。
バスの車窓には、雪をかぶったシェラネバダ山脈が素晴らしい。所々に白壁の村が見えてくる。
スペインアンダルシア地方にはやっぱり抜けるような青空が似合う。
今回のスペインへの旅の第2の目的地である、グアディクスに到着。
一番最初に、「こんな椅子を作ってみたい」と思ったきっかけとなったその写真の椅子はこの村で作られていたものだった。
ここでも、もしも縁があるのならあの椅子に出合えるだろう。
着いたのが午後3時過ぎだったので、まだ青空が素晴らしかったが、散策している内に夕焼けで白壁がピンク色に染まっていった。
アンダルシアの椅子
洞窟住居は今も健在だった。なだらかな岩山に横穴を掘って家にしている。小山を歩いていると所々から煙突がニョキニョキ出ている。いつのまにか人の家の屋根の上を歩いている事になってしまっている。子供達もここが遊び場だ。楽しそうに叫んで笑っている。ほっとした。声を掛けてみたが、急に上目使いに窺うような、疑うような表情になってしまった。かたことで話をしていたら、「ソロ(ひとり)?」と聞かれて、そう一人だよ、と言ったら、びっくりしたような顔をしていろいろ話しかけてきてくれた。写真を一緒にとってもいい?と言ったら、いやだといって、指をバッテンにしたので、あきらめた。遠くから遊んでいる姿を撮らせてもらった。
地元の大人の人達も、皆同じ表情で、上目使いで顔を合わせようとしない。でも、こちらから「オラ!」と挨拶すると、急に表情が明るくなって、「オラ!」とか「タルデス!(こんにちわ)」なんて、笑って返してくれた。うれしかった。
ほとんどの家は、今は当然のように現代的な生活で、素朴な感じはなかった。間口は鉄の門扉で閉ざされ、観光客に向けられるレンズにうんざりしている様子が感じられた。自分もその中の一人であることは間違いないのだが・・・。
きっと、迷惑な観光客達に自分の家の上を勝手に歩かれることを気持ち良くは思っていないのだろう。無理もない。そーっとしておいてあげたいと思った。しかし、特に目立った特産もなさそうなので、観光でもっているのだからそれもしょうがないところなのか、葛藤だな。どうしても、家とその家に住んでいる人たちの生活というのが見どころなので厳しい。
美術誌を取材した方が、あの椅子に出会った頃、40年以上も前のことだが、当時を想像すると、きっとのんびりした時間が流れていて良かったんだろうなぁ。とちょっと残念に思ってしまった。
グアディクスでは、あの椅子には出合えなかった。
あらためて、ロンダでフリオ・サンツさんに出会えた事が奇跡に思えてきた。今でも手道具だけを使い、昔と同じ方法であの椅子を作っている方に出会えたのだ。想像するに、スペイン中を探してもそうたくさんはいないだろう、今となっては数少ない存在だと思う。
そんな出会いに導いてくれた全てに感謝です。
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グアディクスの村を歩いていた時、犬や猫にたくさん会った。門の中から吠える犬もいたが、首輪をつけていない野良も自由にのびのび歩いていた。黒猫は、なんとも白壁とのコントラストがいい感じで、洞くつ住居の雰囲気を一層引き立てていた。
そんな中、足元へ寄って来ていきなり服従体勢で耳をぺたんと後ろへ倒し、しっぽをふりふり、ちぎれんばかりにぴゅんぴゅん振って走り寄って来る犬がいた。「おーよしよし かわいいねぇおまえは」と手を出せば、ぺろぺろぺろぺろ。その場に転がって腹を見せて、おしっこもちびらんばかりの喜びようだった。撫でるのをやめると、もっともっとと、その場跳びで、ジャンプし、顔まで舐める勢い。これはかわいくないわけはない。しばらく一緒に遊んでいたら、少しはなれたところから飼い主の女性が、「ルナ、ルナ!」と呼ぶ声がした。にこっとして会釈をし、後ろを向いて歩いて行った。ルナもなんの未練もなく、振り返ることもなく一直線にその女性について帰ってしまった。
びっくり。
ルナという名前は、一番最初に飼った犬の名前だ。まだ信州へ来るずっと前、小学校の時にかわいがっていた犬だ。外の犬小屋へ入って一緒に寝てしまい、母が心配して捜したという昔話も残っている。やっぱり大好きだった犬だ。
「ここでルナに会ったか。」と思わずつぶやいていた。
この旅の間中、ロッキーときんたとごんたが空から見守ってくれている、という安心感があった。何か不安になった時には、空を見上げてごんたと話をした。ルナの事は一度も思い出すことがなかった。すっかり忘れていた。そうか、ルナはここグアディクスで生れ変わっていたのか。それで会いに来てくれたんだ。
スペインアンダルシアの、グアディクスで作られたジプシーの椅子に、永年あこがれて、思いを込めていたら、なんとルナが先にグアディクスで待ってくれていたか。椅子を作る仕事に就くなんて思いもしなかった子供時代に一緒に過ごしたルナだったが、不思議だけど自然に思えた。
いつかまた、ロッキー、きんた、ごんたも帰って来てくれるかな?
グアディクスでもよく歩いた。いつの間にバス停からは遠く離れ、人に聞き聞きやっと発車時刻に遅れることなくグアディクスバスターミナルにたどり着いた。
「グラナーダ!!」あごで乗客に乗れという合図。背は低いけどかっぷくのいいおじさん。やたらとかっこいい。
おしゃれして、かっこつけてこれから都会のグラナダへ夜の
遊びに行こうという若者がたくさん乗り込んだ。
グラナダのバスターミナルからユースはまたけっこうな距離を徒歩。
疲れた体に熱いシャワーが気持ちいい。

明日朝早くグラナダ空港からバルセロナへ向かうため、空港バスに乗る。そのバス停探しに一苦労した。小さい小さい標識を見つけて帰ってきて寝たのは、AM2:00だった。朝ごはんは「ノープロブレム!ピクニックを用意しますよ」という受付の人の言葉に、お弁当かぁ、どんなのかなぁ。朝わたされた袋には、パックジュースとクラッカーとビスケット一袋。期待した自分が馬鹿だった。でも本当にいいユースだった。受付のおじさんもとても親切で、空港まで行くバスの時間とかバス停を調べてくれた。グラシアス!

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バス停には、予定時刻より20分も早くバスが到着、そうそうに出発してしまった。早くから待っていてよかったぁ、あぶないあぶない。時間通りには来ないと聞いていたけどそんなにずれがあるとは思っていなかった。スペイン時間か。「ラ・クエンタ(いくら?)」の問いに「トレス(3)」とだけ、太いがらがら声で言ったので3ユーロ入れた。荒っぽい人で荒っぽい運転。これって本当に大型バス?スピードっていう映画を思い出した。
無事グラナダ空港へ到着。飛行機の待ち時間、あのピクニックでは足らず、空港のカフェで朝食。

飛行機はさすがに時間通り離陸。無事バルセロナ空港へ着陸。空港バスでカタルーニャ広場まで行き、バルセロナの街に着いた。大都会。海に近い街のせいか、また今までの空気とは違う。吹く風も暖かい。
ユーロ現金がなくなってしまったので、銀行で両替してもらう。まずは銀行に入るのに金属探知機に引っかかり、入り口手前で右往左往。やっと通過し2つある窓口はひとつはクローズ。8人並んでいたが、というか座ったり壁に寄りかかったりばらばら散らばって待っている。どうも、新しい人が入ってきたときに、最後は誰?と聞いてその人の後というのを覚えておくのがルールのようだ。

グラナダ空港
ゆっくりゆっくり仕事は進む。焦らない。待っている人たちも焦らない。
やっとやっと自分の番が回ってきた。始めに聞いて、パスポートはいらないと聞いたつもりだったが、いざ、円をユーロにと言ったら、パスポートが必要、見せろと言う。話が違うじゃないかといろいろ言いたいのだがいえず、また一度出てロッカーにしまった大荷物からパスポートを取ってきて、1から並び直し。今度はすんなり両替できた。はーっ・・・しゃべれないのはだめだ。しっかり銀行で時間を使ってしまった。トラベラーズチェックもどこも両替もできず、そのままも使えずで役立たず。日本から持っていった分をそのまま持って帰った。
バルセロナの街のマンホール。
カメレオンの舌のようにすばやい情報の伝達?
バルセロナで泊まったユースホステル。大きな立派な鉄の門。
お屋敷を改築したそうだ。
内装もそれはそれは素晴らしい、大理石の階段、彫刻、家具調度品やステンドグラス。
泊まる所はといえば、増築された、お世辞にも立派とはいえない6人部屋ドミトリー式。まいっか。十分十分。
つづく
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